スキナダケ
「はい、ママ。どうぞ」

ハナからグラスを受け取ったママは嬉しそうに笑った。

「まさかこんなに早くハナちゃんにお酒作ってもらう日が来るなんてね」

「大人になったらもっと作ってあげる」

「ふふ。楽しみね」

ママがハナのグラスに自分のグラスを当てた。

カチンって音が、ハナには最後の合図に聴こえた。

一口呑んで、目を細めるママ。
ハナを見て「おいしー」って微笑んだ。

「ママ」

「なぁに」

「ハナを愛してる?」

「当たり前じゃない。さっきから何度もそう言ってるでしょ。どうしたのよ、今日のハナちゃんは甘えんぼさんかしら?」

クスクス笑いながら、もう一口。

その姿を見守りながら、ハナはグラスには口を付けなかった。
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