スキナダケ
お父さんは山を所有してる。

町外れにあって、山の入り口すら深いからあまり人は寄り付かない。

車で登れる長い長い、ずーっと上まで続く坂道と、頑張れば人の脚でも登っていける遊歩道。

なんにも無い鬱蒼とした山に好き好んで入っていく人なんて滅多に居ないし、私有地の立看板を見て、しかもその所有者が誰であるか理解している地元の人間は絶対に寄り付かない。

切り開かれたところは砂利道になっていて、物置小屋にしてる納屋と、工場なんか経営してないはずだけど木材とか鉄の廃材とかが積まれていて、傍には焼却炉もある。
廃材とか、色々燃やすんだって言ってた。
色々。

学校にもあるみたいな焼却炉。
けっこう大きい。
よほどガタイのいい大男だったら分かんないけど、大人の女性は簡単に放り込めそうだ。

現に、ママなら簡単に放り込めた。

その上から持ってきた荷物を紙袋ごと放り込んだ。

少し下がって、納屋から引っ張り出してきたパイプ椅子に座って、焼却炉からもくもく昇っていく煙を眺めてた。

想像しようとしてみたって、見たことの無い、燃え盛る焼却炉の中身なんてイメージしにくい。

ただもくもくと昇っていく薄い灰色の煙を見守り続けながら、ママとの思い出でも懐古しようかと思ったけれど、それもうまく出来なかった。
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