スキナダケ

思い描いていたよりも血液は鮮やかなんかじゃなくて、
最初に「鶏肉」だなんて思ってしまったからか、
人間を捌いてるんだって快感は得られなかった。

何本線を引いても、イチは泣いたり叫んだりしなかった。

こんなに強いのに、なんでイチはイチの世界に負けちゃったんだろう。

人間を心から殺せるのは愛…だなんて、イチを見ていたら陳腐なことを考えてしまった。

ナイフを縦に持って、おへそより少し上にガンッと突き立てた。

グッと、さすがにイチの喉から声が漏れたけど、
イチは、笑ってた。
涙は流れていなかった。

口をパクパクさせて何かを言った。
多分、「ありがとう」の口の動きだった。

何度も何度もナイフを突き立てた。
ハナの体もイチの血液で赤く染まっていく。
視界が赤でいっぱいになっていく。

イチはもう動かなかった。

こんなに小さいナイフでも人間は簡単に殺せる。

せっかく生まれて初めてしっかりと、最後までハナの手で人を殺したのに、
感想がそれしか思い浮かばなくて残念だった。
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