キミの恋のはじまりは
「おい、マジやめろっ」
いつも余裕の泉の声が珍しく揺れたから、潤くんの背中から少しだけ顔を出せば口元を手で隠して視線を流す彼がいた。
「うおぉ、泉がテレてる!」
「珍しい!貴重!」
「うそーっ、もしかして?!」
「ねね、彼女?!やっぱり彼女?!」
盛り上がっている友達たちの中で泉は居心地悪そうに眉をひそめて「違う」「ウザッ」「黙れ」とか言っているけれど、全然効き目がなさそうだから事実を伝えようと口を開いた。
「……違います。ただの幼馴染です」
その言葉は思ったより凛と響いて、一気に周囲の熱が引いていくのがわかった。
小学生の時、こうやってからかわれることは何度もあった。
その度に同じセリフを吐き出してきた。今日の学校でも。いい慣れた言葉だ。