キミの恋のはじまりは
すたすたと歩くふたりを止めようと、真由ちゃんの腕を引っ張り、葉山さんのシャツをもう一度掴む。
「と、とにかく、泉に見つかるわけにはいかないんです……」
「なんで?」
「……なんでもです。バレたくないんです……」
俯いて、ふたりを掴んだ指先にきゅっと力を込めた。
泉に会いたくない。見たくない。
知らない人達の中で笑う泉にほっとするくせに、同じぐらい胸がざわつく。
矛盾する気持ちが膨らみすぎて苦しくなってしまう。
「莉世……」
真由ちゃんに名前を呼ばれて、のろのろと視線を縫い上げる。
けれど、真由ちゃんの視線は私を微妙に通り越して背後を指さしながら「無理かも」と、肩をすくめた。
「とっくにバレてるよ」
耳によく馴染んだ聞き覚えのある声が背中にぶつかって、思わず「ひっ」と肩がビクついた。
振り返れば、思った通りの人が、思った通りの表情を浮かべて立っていた。
「い、泉!」
慌てる私を見下ろしながら、不機嫌そうに目を細めている。
「あ、あの……、諸事情により、き、来ちゃいました……」
弱々しく言えば、泉の手がすっと伸びてきた。
反射的に身を縮こませた。
けれど、それは私の左指先にそっと触れると、そこに掴まれている葉山さんのシャツを優しく解いた。
触れた指先が熱くて、高鳴る心臓が煩わしくて、泉を見上げた。
「と、とにかく、泉に見つかるわけにはいかないんです……」
「なんで?」
「……なんでもです。バレたくないんです……」
俯いて、ふたりを掴んだ指先にきゅっと力を込めた。
泉に会いたくない。見たくない。
知らない人達の中で笑う泉にほっとするくせに、同じぐらい胸がざわつく。
矛盾する気持ちが膨らみすぎて苦しくなってしまう。
「莉世……」
真由ちゃんに名前を呼ばれて、のろのろと視線を縫い上げる。
けれど、真由ちゃんの視線は私を微妙に通り越して背後を指さしながら「無理かも」と、肩をすくめた。
「とっくにバレてるよ」
耳によく馴染んだ聞き覚えのある声が背中にぶつかって、思わず「ひっ」と肩がビクついた。
振り返れば、思った通りの人が、思った通りの表情を浮かべて立っていた。
「い、泉!」
慌てる私を見下ろしながら、不機嫌そうに目を細めている。
「あ、あの……、諸事情により、き、来ちゃいました……」
弱々しく言えば、泉の手がすっと伸びてきた。
反射的に身を縮こませた。
けれど、それは私の左指先にそっと触れると、そこに掴まれている葉山さんのシャツを優しく解いた。
触れた指先が熱くて、高鳴る心臓が煩わしくて、泉を見上げた。