キミの恋のはじまりは
秋は栗と芋、どっち派ですか?

どっち派っていうか、ほんとはどっちも食べたいんだよね。



「これ、最高だね!!」

「うん!栗もお芋もいっぺんに食べれる!!」



愛用のアイス屋さんの新作”スイートポテトマロングラッセバニラパフェ”を目の前にして興奮気味の真由ちゃんと私。



「キミら、ほんとに嬉しそうな顔してるね~」

「これ見えてます?!夢のコラボですから~!」



頬杖ついて呆れたような生暖かい目を私たちに向ける葉山さんに、目を輝かせてパフェを崇めるかのように白熱している真由ちゃん。

私も力を込めて首を縦に振る。


うん、わかる。

これは熱くならずにいられないよね!



「両方食べれるうえに、このバニラアイスとの相性が最高ですよ!!」



上半身を乗り出しぎみに言えば、葉山さんは苦笑いする。



「ちょっと莉世ちゃん、人格変わってない?いつもの数倍熱いけど……」

「甘いものに対しての私の熱はいつでもこんなふうです!」



ねっ!と隣にいる真由ちゃんを見て深く頷き合う。


人見知りな私だけど、葉山さんとはなぜかあまり緊張せずに話せる。

たぶん人の壁を透明にする力があると思う。

笑顔かな…、葉山さんの垂れ目がちな目が微笑むと、一気に空気が緩む気がする。


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