真面目系司法書士は年下看護学生に翻弄される


なぜか林さんは兄と仲良くなっていたようで、ここ最近、知らない間に何度か二人で飲みに行ったりしていたみたいだった。

「だからお前、仕事探していただろう?林さんは事務員募集中だから……どうかって話だよ」

確かにそろそろ看護師として働き口を探していた。けれど夜勤があったりフルタイム出勤だったりで、乳幼児のいる、しかも学校を出ただけで実務経験のない看護師の仕事は、なかなか見つからなかった。

「事務員とか、したことがないんですけど……」

「そのへんは僕がちゃんと教えるから大丈夫だよ。勿論赤ちゃんとの時間も十分取れるように配慮します。なんなら連れてきてくれても構わない」

「いえ、それは流石に……」

「とにかく、お願いできないだろうか?近くに評判のいい保育所もあるんだ」

なぜか保育所まで調べてくれていて驚いた。

子供を預けるためには仕事をしていなくてはならない。
卵が先か鶏が先かみたいなもので、仕事が決まっていなければ子供は預けられない。子供を預けなければ仕事の面接に行けない。
今はそんな矛盾した現象が田舎では当たり前になっていた。保育所を探すのにも一苦労だ。仕事が決まれば保育園に優先的に入れるので今回の話はありがたい。

なかなか新しい動画を撮ることができず配信も滞っていたので、優菜の収益は減っていた。兄にこのままずっと、金銭面でも世話になるわけにもいかないので、ある程度安定した収入が欲しかった。

渡りに船だった。

保育園が決まり次第林さんのところで働かせてもらうことにした。林さんには保育園が決まるまで赤ちゃんを連れて来てもらえないかとお願いされたが、それはいくらなんでも仕事にならないだろうと丁重にお断りした。

すぐに働きにいって何もできない事がバレると恥ずかしい。できるだけ事前学習しようと、心の中で優菜は決めた。
社会復帰だ。ずっと朝陽と二人だけで家に引きこもっていたのでフレッシュな気持ちになれる。優菜はとてもやる気が出てきた。





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