葦名絢芽は、初恋を諦めたい
「──立花くん、ほんと目の保養!」
「国宝級だよ。絢芽ちゃんも思うよね」
つばきちゃんに問われて、私は我に返った。
「う、うん」
ほとんど話を聞いてなかったけど、二人にこくりと大きく頷いてみせた。
「絢芽ちゃん、テンション低いね。ほんと男子に興味ないよね」
「そうかな?」
「ツートップの顔面見ても、絢芽、無反応だったね」
亜実ちゃんの言葉に、SNSに上げられたそれぞれの去年の文化祭の画像を見せられた日を思い出した。
確かにお二人は、絶世のって付いてもおかしくないくらいとびきり綺麗で格好いい人だった。
伊織くん以外の人を好きになれれば、と淡い期待を抱いていたけど、ときめくまではいかなかった。
「綾芽ちゃんと立花くんお似合いだと思うけどなぁ」
つばきちゃんの発言が信じられなくて、思わず目を丸くさせてしまった。
「そんなことないよっ」
私はちびでちょっぴり童顔だし、仮に伊織くんといとこ同士じゃなかったとしても、彼女になりたいなんておこがましいよ。
「綾芽ちゃんが謙遜すると、普通に嫌味になるからね!」
必死に否定する私に、つばきちゃんは思い切り肩を掴み、深まった笑みを浮かべた。
私はその笑みに逆らえなくて無言で何度も頷くしか出来なかった。
その台詞、そっくりつばきちゃんに返してあげたいと思ったのは内緒。