純愛カタルシス💞純愛クライシス
「愛良、それって――」
堀田課長を膝で踏みつけながら、問いかけたことがキッカケとなり、奥さんはしっかり涙を拭ったあとに、ぽつりぽつりと説明する。
「くだらないことで、高木くんと大ゲンカした日。落ち込んだ私を励ましてあげるって、郁真さんに言われて、一緒に飲みに行ったの。いつもケンカの仲裁に入ってくれる優しい彼を信用していたし、私自身あまりお酒に強くないから、アルコール度数の低いカクテルを頼んだんだけど……」
「私と同じように、途中で意識をなくしたんですね?」
これまでのやり取りで、同じ手を使われたのが明らかだった。私の質問を聞いて、奥さんは静かに頷く。
「飲んでる途中で、高木くんからの謝罪メッセージが着ていたことに気づいて、それで何度か席を外したわ。きっとそのときに、睡眠導入剤をカクテルに混入されたんでしょうね」
奥さんだけじゃなく、社員全員からの視線を一身に受けた堀田課長の顔は、高木さんに踏みつけられているのに、見る間に青ざめる。
私はこれまでの経緯を踏まえて、田所部長に話しかける。
「堀田課長が睡眠導入剤を持ち歩いていることと、犯行が手慣れていること。奥さんや私に同じ手を使って、躊躇なく実行したことについて、ほかにも同じ手段を用いて、乱暴された女性がいると思います。しかしながらこういうことは、とてもデリケートな問題ですし、手をあげにくいでしょう」
言いながら周囲を見渡したけれど、一様に不安そうな面持ちだった。
「小野寺さんの言うとおり、余罪があることは間違いないと、俺も判断します。社則にある、公序良俗に反する行為に当たるので、当然罰しなければなりません。高木くん、退いていいよ」
蛍光灯の明かりで頭を光らせた田所部長は、妙な迫力を漂わせて顔面蒼白の堀田課長の襟首を掴み、強引に立ち上がらせると、引きずって部署を出て行った。
「小野寺さん、ごめんなさい!」
そう言ったのは、給湯室でうわさ話に花を咲かせていた女子社員たちだった。
「妻帯者の堀田課長と最近頻繁に一緒にいたり、高木さんともなんだか仲が良さそうに見えて、変な噂をしてました。本当にごめんなさい!」
ほかの女子社員も似たようなことを口にし、しっかり謝罪してくれた。
「わかった。もうこれからは、見かけだけで人を判断しないで、あることないこと噂話にしないでくださいね」
ビシッと注意を促し、泣きじゃくる奥さんの背に腕をまわした。
「上に行って落ち着きましょうか。高木さんも一緒に行ってくれる?」
私自身、急ぎの仕事がなかったものの、通常業務はあったけれど、こんな状況では仕事にならないと考え、関係者になる高木さんをまじえて、最上階にある社食に向かった。
まだ朝の時間帯なので使いたい放題。誰もいない社食の窓際の席に誘導し、高木さんに奥さんの面倒を見てもらってる間に、三人分のコーヒーを購入してテーブルに置く。
奥さんと高木さんの前の席に座ると、涙ぐむ彼女に話しかけた。
「当時の様子を話してもらえますか?」
思い出すのはつらいことになるだろうけど、検証するために訊ねた。
堀田課長を膝で踏みつけながら、問いかけたことがキッカケとなり、奥さんはしっかり涙を拭ったあとに、ぽつりぽつりと説明する。
「くだらないことで、高木くんと大ゲンカした日。落ち込んだ私を励ましてあげるって、郁真さんに言われて、一緒に飲みに行ったの。いつもケンカの仲裁に入ってくれる優しい彼を信用していたし、私自身あまりお酒に強くないから、アルコール度数の低いカクテルを頼んだんだけど……」
「私と同じように、途中で意識をなくしたんですね?」
これまでのやり取りで、同じ手を使われたのが明らかだった。私の質問を聞いて、奥さんは静かに頷く。
「飲んでる途中で、高木くんからの謝罪メッセージが着ていたことに気づいて、それで何度か席を外したわ。きっとそのときに、睡眠導入剤をカクテルに混入されたんでしょうね」
奥さんだけじゃなく、社員全員からの視線を一身に受けた堀田課長の顔は、高木さんに踏みつけられているのに、見る間に青ざめる。
私はこれまでの経緯を踏まえて、田所部長に話しかける。
「堀田課長が睡眠導入剤を持ち歩いていることと、犯行が手慣れていること。奥さんや私に同じ手を使って、躊躇なく実行したことについて、ほかにも同じ手段を用いて、乱暴された女性がいると思います。しかしながらこういうことは、とてもデリケートな問題ですし、手をあげにくいでしょう」
言いながら周囲を見渡したけれど、一様に不安そうな面持ちだった。
「小野寺さんの言うとおり、余罪があることは間違いないと、俺も判断します。社則にある、公序良俗に反する行為に当たるので、当然罰しなければなりません。高木くん、退いていいよ」
蛍光灯の明かりで頭を光らせた田所部長は、妙な迫力を漂わせて顔面蒼白の堀田課長の襟首を掴み、強引に立ち上がらせると、引きずって部署を出て行った。
「小野寺さん、ごめんなさい!」
そう言ったのは、給湯室でうわさ話に花を咲かせていた女子社員たちだった。
「妻帯者の堀田課長と最近頻繁に一緒にいたり、高木さんともなんだか仲が良さそうに見えて、変な噂をしてました。本当にごめんなさい!」
ほかの女子社員も似たようなことを口にし、しっかり謝罪してくれた。
「わかった。もうこれからは、見かけだけで人を判断しないで、あることないこと噂話にしないでくださいね」
ビシッと注意を促し、泣きじゃくる奥さんの背に腕をまわした。
「上に行って落ち着きましょうか。高木さんも一緒に行ってくれる?」
私自身、急ぎの仕事がなかったものの、通常業務はあったけれど、こんな状況では仕事にならないと考え、関係者になる高木さんをまじえて、最上階にある社食に向かった。
まだ朝の時間帯なので使いたい放題。誰もいない社食の窓際の席に誘導し、高木さんに奥さんの面倒を見てもらってる間に、三人分のコーヒーを購入してテーブルに置く。
奥さんと高木さんの前の席に座ると、涙ぐむ彼女に話しかけた。
「当時の様子を話してもらえますか?」
思い出すのはつらいことになるだろうけど、検証するために訊ねた。