Re:スタート
その日、俺と佳奈は別々の場所へと帰った。

佳奈は今、社宅に住んでいるらしい。

だけど、『またアパートに行くね』って言ってくれた。

『悠のことだから、部屋が荒れているんでしょ?』って笑っていた。

その通りだから何も言い返せなかった俺だけど……。


アパートの部屋に帰ってきた俺は、玄関の扉を開ける。

目に留まるのは、靴箱の上にある写真立て。

佳奈と俺が幸せそうに頬を寄せ合い、笑っている写真。


部屋が汚いのは確かだ。

だけど、この写真立てだけはほこりがかぶっていない。

だって、これは大切な思い出だから。

佳奈と出会った公園で撮った写真。

俺の夢を叫んだ時に押されたシャッター。



『夢を語っている時の悠、素敵な笑顔してるよねっ!』



そう言った佳奈。

だけど、そう言って隣で笑ってくれる佳奈がいるから、俺も笑顔になれるんだよ。

そんな俺の宝物。
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