掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜

彼女が泣いている理由 side淳之介

何があったんだ……。

俺はベッドのシーツを替えながら、環が泣いていた理由を考えた。

一昨日のホームパーティでは普通だった。
久しぶりに会えた拓郎との会話を楽しんでいたし、心から嬉しそうだった。

全身から『拓郎が好き』という気持ちが溢れ出していたんだ。
俺はその光景を目の当たりにして、正直打ちのめされていた。

わかっていた事だけど、環はまだまだ拓郎が好きで、ずっと思いを募らせていたのだと、よくわかったんだ。

距離が離れたからと言って、環が拓郎を忘れることなどないんだ。

……わかっていたことだ……。

……わかっていたことだ……。

自分にそう言い聞かせたが、俺自身も苦しかった。

いつか近くにいる俺の事を、そんな切なくて潤んだ目で見てくれるんじゃないかと、無駄な期待をしていたんだ。
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