掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
俺はあれから少しおかしい。
あの未来科学館の夜から、いつの間にか環を目で追っているのだ。

その後、陸上部のやつとどうなったのか、淳之介も口を割らないし、情報が入ってこない。

環は忙しいから、付き合うような時間はないと思うのだが、真相はわからない。

今までずっと一緒にいた幼馴染だというのに、秘密を持たれるのは納得がいかないのだ。

だから目で追ってしまうのだと思う。

気になるなら、環を捕まえて聞き出せばいい。

そう思っていたのだが、環と二人っきりになる機会はやってこなかった。

しかも、真から
「当分の間、環には近づくな」
と言い渡されてしまった。

何を大袈裟な……
と思っていたが、咲希のあの執着心を見てしまうと、真の言っていることが正しいような気がしてきた。

なんかもう……
この八方塞がりは何とかならないのか。

そんな気が滅入る日々だったが、ようやくこの日が来たのだ。
< 70 / 278 >

この作品をシェア

pagetop