初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが

 ベリンダは確かに婚約者筆頭だけれど、ずっと(﹅﹅﹅)そうなのだ。
 初めは第一王子殿下、次いで第二王子殿下、今は第三王子殿下……
 なので彼女の年齢は二十二歳とクライドより三つ程年上である。貴族令嬢として若干行き遅れ気味ではあるが、王族の婚約者候補という大義名分を掲げている為、誰も何も言わない。ベリンダもその実家でさえも、三人全員に断られる事など考えてもいないのだ。

 レーゼント侯爵は王子たちの婚約者候補を務めた実績を盾に、絶対に第三王子に責任を取ってもらう気でいるのだとは、専らの噂だ。
 だから最近のベリンダはクライドに絶対選ばれる自信に満ち、特に傲慢さが際立っていた。それに……
(もし殿下が駄目でも、それならシェイド様を貰うから良いとお考えなのかもしれない……)
 妻を臣下に下げ渡すという文化は、古くはあるが、確かに存在した因習だ。
 リエラは眉根を寄せた。
 
 ベリンダの存在も、彼女の陰でくすくす笑う取り巻きの令嬢たちも、ただ不快でしかない。
< 49 / 94 >

この作品をシェア

pagetop