冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 赤ワインをたっぷりと使った本格的なビーフシチュー。牛肉と野菜もごろごろと入った具だくさんのシチューはボリュームも満点だ。そこにサラダとパンを添える予定になっている。

 ケーキはいつも買い物に行くスーパーが入っている近所の商業施設内に気になるお店があり、調べたところ評判も良かったので、苺がのったホールケーキを購入した。

 ダイニングテーブルには花を飾り、特別感を演出する。

 準備は万端だ。あとは充さんの帰りを待つだけなのだが、午後の八時を過ぎても帰ってくる気配がない。

 仕事が趣味のような人なので普段ならば気にすることはないのだが、今夜は七時には帰ると言って出掛けていったので少し心配になった。

 まさか私と誕生日のお祝いをすることを忘れているのでは?

 充さんなら有り得そうだけれど、最近の彼の態度からしてそれはないだろうと首を横に振る。

 どういう心境の変化があったのかはわからないけれど、最近の充さんは私に対してあまり棘のあることを言わないし、雰囲気もほんの少し柔らかくなったように思う。

 今日の誕生日のお祝いも、彼の言葉を聞く限りだと楽しみにしているように感じた。
< 110 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop