冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

 充さんは私の問いにはっきりと答えてはくれなかったけれど、私は確信する。

 ネックレスを見つけてくれたのは充さんだ。仕事に戻ると嘘をついて、探しに行ってくれたんだ。

「どこにありましたか。私も探したけど見つからなくて」
「菫がいつも買い物に行っているスーパーの入る駅前の商業施設だ。インフォメーションに確認したら落とし物で届いていた」
「えっ、うそ……」

 そこなら私も探したのに。焦っていたせいでインフォメーションに確認するのを忘れていた。きっと、ネックレスが落ちているのを見つけた親切な方が届けてくれたのだろう。

「ありがとうございます」

 両手に持ったネックレスを胸に抱き締めながら頭を下げると、充さんの手が私の髪をくしゃっと撫でた。

「昨夜の菫の様子だと、だいぶパニックになっていただろ。ああいうときはまずは落ち着け。もう陽も暮れていたし、雨も降っていたんだからむやみやたらに探しても見つかるわけないだろ」
「はい」
「二度とあんなことはするな」

 私の髪を撫でていた充さんの手が背中にまわり、そっと引き寄せられる。服を着ていない彼の男らしくがっしりとした胸板に私の頬がぴったりとくっついた。
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