冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~
今はまだ好きになれるかわからない。でも、結婚するからには宮條さんのことをもっと知って、彼のいいところを見つけて、苦手だと思うところもひっくるめて好きになれたらいいなと思う。
そんな気持ちを伝えようと思ったのだけれど、
「――きみの気持ちはよくわかった」
宮條さんが先に口を開いたので、私は続きの言葉を言えなくなってしまった。
彼の瞳はまっすぐに私を見つめている。
「きみが俺を好きでなくても構わない。それでも俺と結婚してもらう」
こうして私と宮條さん――充さんの婚約は成立。
すぐに両家顔合わせ、結納と続いた。その間、私たちが連絡を取り合うことは一度もなかった。
社長を務める充さんの仕事が忙しかったこともあるし、大学卒業を控えていた私も就職活動こそしなくて済んだものの卒業論文の制作に追われていた。
そして、私が無事に大学を卒業した三月の翌月である四月に婚姻届を提出し、同じ日に結婚式を挙げた。
その夜――グレースフルパレスホテルグループの新ホテルであるクレシャリーテの客室で、充さんは私のことを冷たく突き放した。
夫婦になるのだから仲良くなりたいと思っていたのは私だけで、充さんが欲しかったのは妻という存在だけ。私にはほんの少しの興味も持っていないらしい。
そんな冷酷な考え方の彼と結婚したことを私はとても後悔している。