能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
当日、私は兄と一緒に父親の墓参りへと向かった。

「やっぱり、何もなかったわ」

電車に乗って最寄り駅へと向かっている時、兄が言った。

「時間が経ったら父親に対する情とか何かそう言うものがじわじわと出てくるかと思ってたけど、何もなかった」

そう言った兄に、
「私も特に思わなかった」
と、私は言った。

「正直なことを言うと、どこか他人事のような感じがするんだよね。

父親は私たちのことに無関心だったし、私たちもそんな父親に見切りをつけて…な感じだったから。

だから母親に捨てられたその姿を見ても何とも思わなかったし、声もかけれなかった。

まあ、声をかけたところでどうなんだろうって感じだけど」

「あー…」

そう言っていたら、電車のアナウンスが最寄り駅を告げた。
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