能ある彼女は敏腕社長に捕獲される
「あー…」

何かそんな感じがしたよ、うん。

「例え周りが何を言っても“ヤツらは妬んでいるだけだ”とか“自分で何もできないから文句を言うんだ”といつも決めつけて…」

「苦労なさったんですね…」

私はそう声をかけることしかできなかった。

「そのせいで母も姉も出て行ってしまって…」

「出て行ったと言うのは…?」

何か聞き捨てならないワードが出たぞ、おい。

「父は若い時に裸一貫で会社を建ちあげて日本一の会社にすると言って朝から晩まで働きづめの日々を送っていました。

仕事での成果をあげるあまり、家庭のことは省みませんでした。

母はそんな父に愛想をつかして、よそに男を作って家を出て行きました。

私が小学校にあがる前の出来事です」

東郷のお嬢さんは言った。
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