秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】
金森邸のルール編 ~公太side~
俺、葛城公太は今日からこの金森邸でシェフ見習いとして働くことになった。

祖父である公之助がシェフとして長年金森邸で働いているのだが、最近は歳のせいか足腰に負担がかかり仕事に少しではあるが支障が出てきているらしい。

そこで、完全に支障が出る前にと、調理学校を卒業したばかりの俺に白羽の矢が立ったのだ。

葛城家は、代々金森家に仕えているからいづれは俺もどこかの屋敷に行くのだと思っていたが、じいちゃんの所で良かった。
まあ、師匠としては厳しいんだけどね…




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初日、メイドの椎名さんにレクチャーを受けた。

「この屋敷にはいくつかルールがありま
す。
その全てが、強く気高いお方である進一郎様に快適に過ごして頂く為のものと心得なさい。」

「分かりました。」

「基本的な事は事前にお渡しした書類でお伝えしましたが、覚えてきましたか?」

「はい!バッチリです!」

「よろしい。
基本的な事以外にもルールは細部にありますので、それらは徐々に覚えていって下さい。
では、ここからが最も重要な話になります。これは敢えて書類に書かなかったことです。
今からお伝えする3つのことは本日より厳守して下さい。」

「分かりました。」

「一つ、進一郎様に呼ばれない限り、進一郎様の前に姿を見せてはいけません。それ以外は、屋敷内で進一郎様の視界に入ってもいけません。」

「えっ…」

「進一郎様には、この屋敷に進一郎様と瑛二さんの二人だけでお住まいになっていると思っていただけるよう、行動しなさい。」

なんだそのルール…

「返事は?」

「分かりました。」

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