課長に恋してます!
「上村さん、お久しぶりですね」
一瀬君とカウンター席に並んで座ると、カウンターの向こう側の店主が話しかけて来た。
ここは馴染みの天ぷら屋だった。大事な取引先の接待でよく使わせていただいた。二十席ほどのこじんまりとした店構えだが、老舗の高級料亭で長年料理長をやってた店主がやってるので、味は確かだ。
「香港からお戻りになったんですか?」
店主が気さくに話してくれる。年は十ぐらい上だった。
「まだ香港ですよ。二か月ぶりに日本に帰って来たんです。妻の命日でしたから」
「お墓参りですか。ご苦労様です。奥様もきっと喜んでますよ。今日はどうしましょうか」
「いつものお任せコースで」
「かしこまりました。今日は筍とタラの芽が入ってますから」
「もう春のメニューなんですね」
きょとんとした表情を浮かべた一瀬君を見た。
「課長の行きつけのお店なんですか?」
「うん。四年ぐらい通ってる。ここはね、目の前で天ぷらを揚げてくれて、出来たてを頂けるんだよ」
「そうなんですか」
一瀬君がかしこまったような顔をした。
「天ぷらは好き?」
「はい」
「良かった。日本に帰って来たら、ここの天ぷらが食べたかったんだ。一瀬君と一緒に来れて良かったよ」
「課長の行きつけに連れて来ていただけて嬉しいです」
一瀬君とカウンター席に並んで座ると、カウンターの向こう側の店主が話しかけて来た。
ここは馴染みの天ぷら屋だった。大事な取引先の接待でよく使わせていただいた。二十席ほどのこじんまりとした店構えだが、老舗の高級料亭で長年料理長をやってた店主がやってるので、味は確かだ。
「香港からお戻りになったんですか?」
店主が気さくに話してくれる。年は十ぐらい上だった。
「まだ香港ですよ。二か月ぶりに日本に帰って来たんです。妻の命日でしたから」
「お墓参りですか。ご苦労様です。奥様もきっと喜んでますよ。今日はどうしましょうか」
「いつものお任せコースで」
「かしこまりました。今日は筍とタラの芽が入ってますから」
「もう春のメニューなんですね」
きょとんとした表情を浮かべた一瀬君を見た。
「課長の行きつけのお店なんですか?」
「うん。四年ぐらい通ってる。ここはね、目の前で天ぷらを揚げてくれて、出来たてを頂けるんだよ」
「そうなんですか」
一瀬君がかしこまったような顔をした。
「天ぷらは好き?」
「はい」
「良かった。日本に帰って来たら、ここの天ぷらが食べたかったんだ。一瀬君と一緒に来れて良かったよ」
「課長の行きつけに連れて来ていただけて嬉しいです」