課長に恋してます!
 ホテルに帰って来て、ベッドに横になった。しばらく動けなかった。
 一瀬君の事をずっと考えていた。

 別れ際の寂しそうな表情が脳裏に焼き付いて離れない。
 なんであんなに淋しそうにするんだ。今生の別れみたいな顔をされて、引き留めそうになった。

 今日は楽しく過ごした。
 だけど今、隣に一瀬君がいない事が寂しい。
 ため息がまた出た。

 一瀬君の声が聞きたい。
 スマホを取った。
 アドレス帳から一瀬君の名前を引っ張りだして、そのまま見つめた。

 通話ボタンを押せばつながる。
 
 しかし――
 
 一瀬君の気持ちを受け入れられない立場で、電話をするのはやっぱりダメだ。
 個人的に会うのも止めた方がいい。
 今日会ったのはホワイトデーのお返しだったから特別だ。

 それに僕は結婚している。
 左薬指を改めて見つめた。

 ゆり子の顔が浮かんだ。
 恋焦がれて一緒になった最愛の人だ。
 その想いはこれからも変わらない。

 もう会わない。
 絶対に会わない。

 そう思うのに、一瀬君の顔がちらつく。

 スマホの画面を見てると、電話がかかってきた。
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