課長に恋してます!

21 見覚えのある背中【美月】

 月曜日。

 昼休みになると、間宮に会社の裏にある、定食屋に連れ込まれ、ホワイトデーの事を聞かれた。

「どうだったんですか?」

 テーブル席に座った間宮が身を乗り出す勢いで聞いてきた。
 店内に知ってる顔はなく、ほとんどが課長と同年輩ぐらいのおじさんたちだ。

「どうって、別に」
「もったいぶらないで下さい」
「もったいぶってないけど」
「課長とキスぐらいしました?」

 水に咽た。

「な、な、な……」

 口をパクパクさせてると、間宮が呆れたようなため息をついた。

「もう、押し倒す勢いでせまんなきゃダメだって言ったじゃないですか」
「押し倒せる訳ないでしょ」
「だって香港に行っちゃう人なんですよ。めったに会えないんですよ」
「そうだけど……でも、課長にはもう告白もしてあるし、その上、断られてる身だし、これ以上どうしたらいいかわからなくて」
「断られてても、二人きりで会ってくれたんでしょ?それって課長にも気があると思うんですけど」
「そうなの?」
「そうですよ。人の気持ちは変わるんですよ。一度断られても、振り向いてくれる事だってあるんです」
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