課長に恋してます!
 石上はパニックになっている私をレストランで解放してくれた。
 強引に持たされた婚約指輪が重たい。

 マンションに帰って来てからも放心状態。

 まさか石上にプロポーズされるなんて……。

 今夜の石上、王子様みたいだったな。笑顔が優しかったし、私の事もいろいろと気遣ってくれた。
 いつも怒っているか、私をからかっているのに。

 でも……。

 本当は石上がいい奴だって、大学生の頃から知っている。
 私がゼミの集まりでぽつんと一人になっていたら、さりげなく会話の輪に入れてくれたり、重い物を持ってくれたりした。

 だけど、男性として意識した事はなかった。
 なんと言うか、石上は大事な仲間って感じで。

 課長を思う気持ちと石上を思う気持ちは全く違う。

 どう考えても石上の気持ちに応えられない。

 私の心にいるのはやっぱり課長で……。
 
 課長が今でも奥さんが好きで、私が入り込む余地がないってわかっていても諦められない。
 なんて往生際が悪いんだろう。

 一層の事、課長に嫌われたら諦められるのかな。
 
 次の日、会社に行くと上海に出張に行った石上はいなかった。
 プロポーズの返事は出張から帰って来てから聞かせて欲しいと石上に言われていた。

 次に石上に会うのは来週の月曜日。
 その時が返事をする時。

 隣の石上の席を見ながらため息が漏れる。
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