課長に恋してます!
 金曜日の仕事が終わった後、マンションに帰ってくると、思い切って課長のスマホを鳴らした。

 石上にプロポーズの返事をする前に課長の声が聞きたかった。

 課長は電話に出てくれない。
 まだお仕事中かな。それとも、もう私の電話には出てくれないのかな。
 そうだよね。ハッキリとごめんって言われてるもんね。

 本当、往生際が悪い。
 なんか疲れた……。

 石上と結婚もありなのかな……。

 スマホを耳に当てながら、窓の外に視線を向けると、ちらちらと降る白いものが見えた。
 それが雪だと気づいたのはベランダに出てから。

 そう言えば雪が降るって予報が出ていた。

 三月なのに、雪か。
 まだ春は遠いな。

 吐く息が白いや。
 香港は日本とは違ってもう温かいんだろうな。

 ベランダに座って、雪を見ていたら、じわりと涙が出てくる。

 何度かけても課長と電話はつながらない。
 これが課長の返事かもしれない。きっと私の電話には出ないんだ。

 神様が諦めなさいって言ってるのかな。

 耳に当てていたスマホを膝の上に置いた。

 課長を追いかけるのは、もう終わりしなきゃダメだよね。
 そう思ったら涙がますます溢れる。

 課長の事、本当に好きだったな。こんなに好きになれて幸せだった。

 課長、ありがとうございました。

 心の中で課長に何度もお礼を言い、膝を抱えて泣いた。
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