課長に恋してます!
 結局――会えなかった。

 品川から京急電鉄で羽田空港に向かった。電車に揺られながら、思ったよりも落ち込んでる事に気づいた。

 一瀬君に会いたかった。
 
 会えなかったから余計そう思うのか。
 胸が締め付けられるような想いになった。

 この年になっても好きな人に会えないのは、やっぱり切ない。
 年を取ったら気持ちは鈍くなると思ってたが、そうではなかった。

 こんなに会いたくなるものだとは――。

 一瀬君の事ばかり思い浮かぶ。

 長野から転勤になって初めて会った日、一瀬君に会社の裏にある美味しい定食屋を教えてもらった。
 多分、あれが最初の個人的な会話だ。

 間宮君とか、石上君とか、課のみんなと定食屋に行く事になって、だけど一瀬君はお弁当を持って来てるから行かないって言った。

 石上君に付き合いが悪いと言われてたが、そんな彼女に好感を持った。
 周りに流されない所がいいと思った。

 それから、仕事の事で期待しないで欲しいとも言われた。
 寿退社しますからって言葉には驚いたが。
 自分をしっかり持ってる人だと感じた。

 だから、仕事を任せた。
 一瀬君は最初、戸惑ってたが、しっかり仕事をしてくれた。
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