課長に恋してます!
尖沙咀を出たのは夕方だった。
帰りもスターフェリーで中環に向かった。夕暮れのビクトリアハーバーを一瀬君が瞳を細めて眺めていた。
茜色に染まった鼻筋の通った一瀬君の横顔が美しくて、胸が締め付けられる。
一緒にいられるのもあと少しだと思うと寂しい。一緒にいればいる程、離れがたくなってくるようだ。
できる事なら明日も明後日も一緒にいたい。
しかし、僕に引き止める権利はない。
同じ年だったら絶対に離さないのに……。
「課長、綺麗ですね」
一瀬君が言った。
「昼間はビルの高さに目がくらんだけど、夕方は夕陽の美しさに胸が締め付けられます。課長と香港にいるなんて夢みたい。思い切って来て良かった」
僕こそ一瀬君と一緒にいられて夢のようだ。
日本を出てから、一瀬君の事を考えない日はなかった。
一瀬君はどうしているだろう? ちゃんとご飯を食べているかな?
元気でやっているかな?
家に帰ってくるとそんな事ばかり考えていた。
石上君から一瀬君が元気がないと聞いて心配だった。
こうして会えて良かった。
だけど、一瀬君はどうして香港に来たんだろう?
仕事ではなさそうだし、だとしたら個人的な理由になるが、まさか僕に会いに?
「何ですか?」
じっと一瀬君を見ていると、目が合った。
「香港に来たのは観光だったの?」
「え」
「いや、まさか僕の見舞いの為だけに来た訳じゃないだろ?」
「えーと、その、それは……」
一瀬君の言葉を静かに聞いた。
帰りもスターフェリーで中環に向かった。夕暮れのビクトリアハーバーを一瀬君が瞳を細めて眺めていた。
茜色に染まった鼻筋の通った一瀬君の横顔が美しくて、胸が締め付けられる。
一緒にいられるのもあと少しだと思うと寂しい。一緒にいればいる程、離れがたくなってくるようだ。
できる事なら明日も明後日も一緒にいたい。
しかし、僕に引き止める権利はない。
同じ年だったら絶対に離さないのに……。
「課長、綺麗ですね」
一瀬君が言った。
「昼間はビルの高さに目がくらんだけど、夕方は夕陽の美しさに胸が締め付けられます。課長と香港にいるなんて夢みたい。思い切って来て良かった」
僕こそ一瀬君と一緒にいられて夢のようだ。
日本を出てから、一瀬君の事を考えない日はなかった。
一瀬君はどうしているだろう? ちゃんとご飯を食べているかな?
元気でやっているかな?
家に帰ってくるとそんな事ばかり考えていた。
石上君から一瀬君が元気がないと聞いて心配だった。
こうして会えて良かった。
だけど、一瀬君はどうして香港に来たんだろう?
仕事ではなさそうだし、だとしたら個人的な理由になるが、まさか僕に会いに?
「何ですか?」
じっと一瀬君を見ていると、目が合った。
「香港に来たのは観光だったの?」
「え」
「いや、まさか僕の見舞いの為だけに来た訳じゃないだろ?」
「えーと、その、それは……」
一瀬君の言葉を静かに聞いた。