秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「お前、社長を諦めるのか?」

「・・諦めたくないですよ。やっと俺を見てくれるようになったのに。
でも、会社か俺か・・なら、選択の余地無いでしょ。影響の度合いが違いますよ」


『うーん』と唸った後に、室長は席を立った。
室長ほどのベテラン秘書でも、やはり策は無いのだ。


「桜、ちゃんとメシ食ったかな・・」


ふと、気にかかった。
今朝は別行動だったし、昼は藤澤とのランチ、夜は・・ひとりだろうから。

気をつけてやらないと、また食べずに痩せてしまう。ようやく、ふっくらしてきたのに。


『服がジャストサイズすぎて、このまま食べ続けたら入らなくなる』と桜は苦笑いするけれど。

だったら、俺が全部買い替えたっていいし、一緒に運動したっていい。


はぁ・・。

俺は小さくため息をついた。


あいつじゃ・・藤澤じゃダメだ。
『手に入れたい』なんて、桜は所有物じゃない。

自惚れかもしれないけれど、どんな桜も丸ごと愛してやれるのは、俺だけだ。


『直生』


桜・・。


「ねぇ、直生」


えっ?

声のする方に顔を向けると、桜がいた。


「・・何で?」

「うん・・。決裁書類が溜まっててオフィスにいたら、室長から電話があって。
一緒に帰ったら・・って言われた」


まったく・・。
室長のお節介に、素直に感謝した。
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