身代わり花嫁として嫁ぎましたが、どうやら旦那様も身代わりのようです?
 ネリーの案内で使用人室の入口へたどり着いた。ここから入り、厨房まではまだ少し歩くらしい。迷路のような屋敷の中、私一人だけでは絶対に厨房までたどり着けない。ましてや使用人室だけでもこんなに広いのだ。

 やっとのことで、厨房に降りる階段を見つけた。
 久しぶりにお料理ができるワクワク感で階段を軽やかに走って降り、ネリーはマイペースにゆっくりと私のあとからついて来る。

 そう言えば、この屋敷にほとんどいないと思っていた使用人たちも、この厨房の扉を開けたらたくさんいたりするのだろうか。理由は知らないけれど、みんな私を避けているから、きっと突然私が厨房に現れたらビックリするだろう。

 扉の向こうからは、使用人たちの楽しそうな笑い声が漏れ出ている。
 ちょうど今頃、主人たちが朝食を終えた時間からが、彼らの朝食かもしれない。

(お食事中にお邪魔してごめんなさいね、自分で自由に使わせてもらうからお構いなく!)

 満面の笑みで、私は厨房の扉を開けた。

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