失われた断片・グラスとリチャード

グレイスの新しい仕事

<グレイスの仕事>
次の日、朝早く
リチャードは、寝間着にナイトガウンを羽織り、居間に向かった。

「グレイス!来なさい!」

「おはようございます。旦那様」

グレイスが、慌てて台所から
飛び出て、頭を下げた。

「まぁ・・いいだろう」

リチャードは素早く、
グレイスの頭から、つま先に視線を下ろした。

そのドレスは、紺色の無地だが、
織りが、複雑な地紋模様をつくっているので、高級感がある。

大き目の透けるレースの襟飾りと、袖口もレースに縁どられている。
髪は、ひとつにまとめられていたがレースのリボンをつけ、
それは、上流階級の娘に見えた。

リチャードは、ソファーに座り込んだ。

「もう一人、手伝いの娘を雇おう。
お前が、ハウスキーパーなのだから、仕事を仕込め。」

「あの、私は・・・?」
グレイスは口に手をやり、あきらかに狼狽(ろうばい)している。
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