失われた断片・グラスとリチャード
「だから、お前が苦しめば、
私が傷つく。
お前が微笑めば、私は安心する。

お前と私の魂のどこかが、
何かが、つながっているのかもしれない・・・

お前がこうして、そばにいてくれることが、
私の心に、安寧(あんねい)をもたらす」

リチャードの指が、
グレイスの赤くなった額にあてられた。

「お前は・・
私の失われた断片なのだろう」

グレイスは人形のように、
リチャードに抱かれていた。

「自分を、傷つけるような事をするな。
私も傷つくから」
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