俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 自分でも〝もしかしたらそうかも〟と思ってしまうその感覚が恥ずかしくて、私は上擦った声で否定する。

「……そっ、そんなわけっ」
「本当は今すぐ下着に手ぇ突っ込んで確認してやりたいけど、さすがにここじゃな……。仕方ないからひとりで焦れてろ。退院したら、目いっぱいかわいがってやるからな」

 耳元で不埒な言葉を囁かれ、ますますもどかしい熱が体の内にこもる。

 鷹矢さんはそんな私の状態に気づいているのかいないのか、最後に私の首筋にキスを落とし、それから思い切り吸い付いて――。

「んっ……」

 微かな痛みに、ぴくっと体が震えた。

 鷹矢さんは唇を離し、吸い付いていた部分をそっと指で撫でる。

「あとで鏡見てみろ。お前は俺の女だって刻印(しるし)、つけといたから」
「えっ。それってまさか……」
「ほら、本気でそろそろ帰らないと明日の仕事に差し支えるぞ」

 首筋に手を当てた私に考える隙を与えないように、鷹矢さんが手の届く棚に置いてあった私のリュックを無理やり持たせる。

 相変わらず体はじりじりと火照っていたけれど、そんなこと正直に言えるはずがないし、今帰らなければ本当にタイミングを逃してしまいそうだ。

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