俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「じゃ、じゃあ……帰りますね、私」
「遅いんだからタクシー使えよ。じゃあな。仕事頑張れ」
「はい。鷹矢さんも、お大事に……」
そそくさと病室を出て、静かな病院の廊下を歩く。
その途中でどうしても耐えきれなくなり、壁に肩を預けて「はぁ……」と深いため息を漏らした。
「病人なのに、言動が過激すぎ……」
さんざんかき乱された胸に手を置くと、未だに激しい鼓動で上下している。
体温もなんだか高いままだ。鷹矢さんのせいで、体がおかしい。
『お前、完全に欲情してるだろ』
ふと、彼の挑発的なセリフを思い出し、否定するように首を左右に振る。
鷹矢さんがセクシーすぎるのが悪いのだ。処女の私がそんなよこしまな欲求を抱くはずがないでしょうが、まったく……。
誰にともなく胸の内で言い訳のようなことを呟き、気を取り直して歩きだす。
消えそうで消えない妙な体の疼きには、無理やり蓋をした。