俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 ……熱いお茶の湯呑みを持つ前でよかった。

 ドキドキしながら、首だけ動かして彼を振り返る。

「鷹矢さん?」
「自分でも不思議なんだが、今すごくやる気に満ちてる。病気になったおかげで、改めて自分がどれほどパイロットの仕事が好きで、やりがいを感じているのかがわかった。絶対復帰してみせるから……お前も信じて待ってろ」

 強気な発言が、鷹矢さんらしい。倒れてしまった直後は少しだけ弱気になっていたけれど、本来の彼が戻ってきたようだ。

「あたり前じゃないですか。鷹矢さんが復帰する最初のフライトの時は、たとえシフトが入っていなくても絶対近くで手を振って見送ります」
「ああ……頼んだぞ」

 甘く微笑んだ彼が、唇を近づけてくる。

 私は目を閉じ、触れるだけの優しいキスを受け止めた。

 唇を離すと、鷹矢さんはため息交じりに言う。

「……せっかく家に帰ってきたのに、まだダメなんだよな」
「えっ?」
「担当医に聞いたんだよ。俺の心臓、夫婦生活には耐えられますかって」
「ええっ!? そんな直球で……?」

 夫婦にとっては大切なことでも、お医者さんに尋ねるのはかなり勇気のいることだ。

 鷹矢さんはそれほどまでに私を……?と思うと、途端に顔が熱くなる。

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