ひと夏のキセキ
遥輝がいない人生は生きてる意味がないと思ってた。


遥輝がいるから、つまらない日々が鮮やかに彩られると思ってた。


でも、遥輝だけが全てじゃないんだ。


「遥輝…、聞こえる?」


『…うん』


「…あのペンダント、返したいから近いうちに病室に来てくれないかな?」


遥輝がいなくてもちゃんと残りの人生を生きていこう。


遥輝は遥輝の人生を生きてほしい。


きっと私といると、また苦しむから。


もう自由になってほしい。


『……わかった』


「…ありがとう」


葵はきっと、私たちを復縁させようとしてくれたんだと思う。


でも、葵のおかげで、気持ちに整理がついて、別れを受け入れることができた。


寂しいし、苦しいけど、それでいいんだ。


それがお互いのためになるのなら、私は別れを受け入れる。


それでいいんだ…。
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