ひと夏のキセキ

救い

すべてが変わってしまった夏祭りから1週間。


小さな窓から見える外の景色は、あまりにも眩しい。


きっととっても暑いんだろうな。


冷房の効いたこの病室にいると感じられない暑さ。


「暇だなぁ…」


遥輝はあれから一度も訪ねてこない。


ペンダントを返す約束、したのにな。


遥輝は今、何を考え何を思ってるんだろう…。


私は変わらず遥輝のことが大好きだよ。


遥輝はどう思ってるのかな。


「よっ!暇だろうと思って漫画持ってきた!」


毎日顔を出してくれるのは葵だけだ。


お母さんともあれ以来ギクシャクしていて、一応仲直りはしたけど居心地の悪さを感じている。


「それと、これ」


漫画が入った紙袋と一緒に渡されたのは、小さな封筒。
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