ひと夏のキセキ
「何があったの?」


「…私の主治医が遥輝のお父さんだったの。遥輝と先生は仲が悪いみたいで、先生と顔を合わせた遥輝がものすごく怒っちゃって…。いつも優しくて穏やかな遥輝が取り乱すところを見て、私何もできなかったんだ。なんて声をかけていいかも分からなくて。そんな自分が情けなくて…」


こんなことで泣くなって話だよね…。


涙脆い自分も嫌になっちゃう。


「そっかそっか。優しいな、絢。その気持ち、きっと遥輝も分かってるよ」


「そうかな…」


去っていくときの遥輝は、どす黒いオーラで目も合わせてくれなかった。


初めて見る姿だった。


「アイツは、意外と繊細な奴だから。表には出さないだけで、いろんなことを抱えて生きてるし、ガラスのハートってやつの持ち主だし?」


真剣な表情から一転して、クククッと笑う葵。
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