ひと夏のキセキ
ガラスハート…。


繊細…。


そんな感じ全然しなかったのに、本当の遥輝はそうなんだ。


知らなかったな…。


遥輝のこと、知らないことだらけだ。


「そんな遥輝が心を許してるのはあたしら青涼じゃなくて、絢なんだよ。あたしたちは遥輝の優しい一面も穏やかな一面も、女の子に笑顔を向けるところも、見たことがない。でも絢には全部見せてんじゃん?遥輝は、絢が側にいてくれるだけで嬉しいんじゃないかな。少なくともあたしにはそう見えるよ」


葵はそう言って頭を撫でてくれた。


あなたは無力じゃないよって言ってくれてるみたいで、すごく安心する。


「にしても健気だなぁ。好きな男のために泣いてくれる女の子なんてそうそういないよ」


「…遥輝には言わないでね」


めんどくさい女だと思われたくない。
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