ひと夏のキセキ
「葵!どこ行ってたの?」


「ん?あたしたちのサボり場所。遥輝もいたけど、絢も来る?」


葵は教室にカバンを取りに来ただけのようで、午後の授業を受けるつもりはないみたいだ。


私は授業を受けたいけど…遥輝という単語に反応してしまう自分がいる。


「ただお菓子食べたりゲームしたりするだけだから、楽しくないかもだけど。どう?」


「遥輝は私が行っても嫌がらないかな…?」


今だにメッセージは無視され続けている。


正直会うのは気まずいというか…。


きっと遥輝も同じように思ってるよね。


「んなの行ってみりゃ分かる。今グズグズしてたら溝は深まる一方だぞ。ほら、行くよ」


「あ…ちょっと…」


葵に無理やり手を引かれ、エレベーターに押し込められる。


「まだ心の準備が―」


「いいからいいから。真生たちが待ってる」
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