ひと夏のキセキ
遥輝本人と話ができたらいいんだけどなぁ…。


メッセージアプリを開くたびに、無視されたままのメッセージが目について胸が締め付けられる。


「絢もお菓子食べなー。美味いよ」


ローテーブルに広げたスナック菓子を指差す葵。


「お前さぁ。ボロボロこぼしすぎなんだよ。きたねぇな」


「ごめんって。言い方酷くない?傷つくわぁ。なぁ?絢」


「何でもかんでも絢ちゃんを巻き込まなくていいから」


なんだか、居心地がいいな。


無理して話さなくてもいい空気だったり、皆思うがままに過ごしている空気だったり。


自由気ままな空間はいつぶりだろう。


決まった時間に看護師さんが来て、食事が運ばれてきて、検査に行って、診察して。


そんな白い箱に閉じ込められていた私を解き放ってくれたのは、間違いなく遥輝だ。
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