ひと夏のキセキ
「大丈夫。遥輝がこの学校の帝王みたいなもんだから」


陸がニコニコしながら答えてくれたけど、全然答えになってない。


「帝王ってどういうこと?」


「アイツの親がこの学校に多額の寄付してんだよね。だから教師が自然と俺らを野放しにしてるってゆー感じ」


それって、神田先生のこと…だよね…?


先生が寄付して、遥輝が自由にさせてもらってるってことになるのかな。


なら、余計になんであんなに先生を嫌っていたのかが分からない。


「遥輝の名誉のために言っとくけど、別にアイツはそのことで威張ったりはしてねぇかんな。それだけは分かっといてやってよ」


「うん…。あの…遥輝の親ってどんな人なの?」


勝手に聞いちゃダメかもしれないけど、気になってしまう。


遥輝は神田先生のことをなぜあんなに嫌っているのか。


「知らねぇなー。俺らはわざわざ家族の話をするような間柄じゃないし」


「そっか…。そうだよね…」


遥輝のいないところで家族の話聞くのがそもそも間違ってるよね…。
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