激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
突然すぐそばで名前を囁かれ、びくりと肩を揺らす。
不意打ちで初めて名前を口にされ、鼓動も大きく音を立てた。
そんな状態の私を、香椎さんの両手が包み込む。背後から抱きしめられるような体勢に、心拍が速まっていく。
「俺は、君のことを本物の婚約者だと思い込んで扱うつもりだ。そうしないと、ここで一緒に生活する意味もない」
密着した体と、耳元で聞こえる低音ボイスのせいで、言われている言葉の意味を上手く処理できない。
「わ、わかりました。ベッドの件は、わかりましたから!」
もうキャパオーバーで、とにかく体を離すことを最優先に考えた私の口からはそんな無責任な言葉が突いて出ていた。
クスッと笑った香椎さんがやっと私を解放する。
「俺はこのあと事務所に向かう。クライアントと約束があるんだ」
「あ……はい」
だからスーツだったのかと、休日ではなかったことを知る。
恐る恐る振り返ると、香椎さんは何事もなかったように寝室から出ていっていた。