激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


 香椎さんの横から覗き込むようにして中を見る。

 リビングダイニングと同様、十八階からの眺望が素晴らしい寝室は、やはりホワイトとグレーの明るくも落ち着いた雰囲気の部屋だった。

 しかし、私の目が奪われたのは部屋の真ん中。壁に沿って窓と平行に置かれた巨大なベッドだ。

 最悪、同じ寝室だったとしてもベッドがふたつあることを想像していた。

 まさか、こんなキングサイズのベッドがひとつだけだなんて聞いてない。


「あの、まさかとは思うんですけど、ここで一緒にってわけではないですよね?」

「まさか? 何を言ってるんだ。入籍を前にして住み始めた婚約者が、別々のベッドに寝ているなんて聞いたことがあるか? 俺は少なくとも聞いたことがない」

「いや、でも私は代理というか偽物なので必要ないかと──」

「親兄弟に訪問されたときにどう説明すればいいんだ?」


 そう言われて言葉に詰まる。

 確かに、香椎さんの家族がもしこの家を訪問する機会があれば、今後の夫婦仲を心配する案件だ。


「そうですけど、でもさすがに……」

「代理を務めるという約束を果たしに来たんだろう? それなら、細部まで全うしてもらう」


 そう言われてしまうと強く言えない立場の私は、香椎さんの言葉に押し黙る。

 潤子伯母さんのことさえなければ、はっきりとNOが言える。だけど、今の私にはそれができない。


「京香」

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