激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「京香ちゃん、もし明日予想以上に時間がかかって、予約のお客様の時間に食い込みそうなら俺に連絡して」


 八木沼さんを施術中の私に、カウンターの向こうから丈さんが声をかけてくる。


「あ、はい。わかりました。そうならないように、切り上げるつもりです」

「うん。でも、行ってみるって決めて絶対正解だと思うよ」

「そう、ですね……伯母に強く勧められたので、一応相談してみようかと」

「そうか。それがいい。今どきどこも無料相談とかできるんだろ?」

「はい。そうみたいですね」


 丈さんと私の会話を聞いていた八木沼さんは、「何、相談って」と話に割って入ってくる。


「ほら、京香ちゃんのサロンのことがネット上で叩かれてるって話。最近もまたあったから、弁護士事務所に相談したほうがいいって話になって」


 レストランバーの常連であり、私のサロンの初期からのお客さまである八木沼さんも誹謗中傷の件は知っている。


「そっか。相談してくれたら、いい弁護士紹介するのに。知り合いにネット犯罪の弁護に長けてるのがいるんだ」

「そうなんですか。伯母に相談したら、伯母がお世話になっている弁護士事務所を紹介してくれるというので」

「伯母さんの紹介ならお世話になりやすいか。もし、必要があれば声かけて」


 八木沼さんの気遣いに「ありがとうございます」と感謝の気持ちを込めて微笑む。

 周囲の人たちが皆気にかけてくれることに、ありがたいなとしみじみ思っていた。

< 16 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop