ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「うちのお父様がね、宰相様と手を組もうとしているの。宰相様の後押しで、私をレオの新たに婚約者据えてもらえるようにね! 大丈夫、コレット様をレオから引き離せるわ」
「ちょっと……コレットとレオは、子供の頃から婚約してるんだよ? 何を考えているのか知らないけど、実際は難しいと思うよ」
「だから、宰相様を利用するって言ったでしょ。宰相様のご令息、知らない? 目が数字の『3』みたいな、すごいボーっとした感じの人なんだけど」
「そんな人、知らないよ……」
「宰相様は目が『3』の息子を次期宰相にしたいのよ。でも、コレット様のお兄様が優秀だから将来の宰相候補として期待されている。宰相様としては、それが面白くないわけ。だから、一緒にリード公爵家に一泡吹かせようていうところでうちのお父様と利害が一致してるのよ」


 今、僕はものすごい話を聞いている気がする。
 コレットに僕の想いが届くことを夢見たこともあったけど、決してコレットの不幸を願っているわけじゃない。
 でも、もしヒロインの言う通りになったら?
 僕に、コレットを幸せにするチャンスが巡ってきたとしたら?

 コレットをレオに任せて指をくわえて見ているだけで、僕は後悔しないのか?


「レオ様とコレット様が婚約解消することに、あなたにとってのデメリットなんてないわよ! じゃあ、私の計画を説明するわね。階段落ちって知ってる? あの有名な蒲田……って貴方に言っても知らないか。まあいいや、それでね」


 ヒロインの、悪魔のささやきが聞こえる。
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