ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「どうしたらいいんだ……」


 俺は大量の書類の上で頭を抱える。


「早く王妃様が回復なさるといいんだが……ご様子はどうなんだ?」
「やっと最近起き上がれるようになってきたんだ。少し運動した方がいいということで、部屋の中をできるだけ歩くようにしているよ。さすがにちょっと外に出たりは難しいが」


 二週間後の俺の誕生日パーティーには参加できるように調整している。国王陛下もそろそろ、公務に少しずつ復帰できるのではないだろうか。

 そうなれば、コレットに会う時間も取れるだろう。
 一刻も早くコレットに会って直接説明したいが、あともう少し。もう少しだ。


「ちなみにコレットの方も……秘密がありそうだったぞ」
「……あ? 秘密? コレットが?」


 アラン何を言うんだ。コレットは変な妄想はしても、俺に嘘はつかないぞ。


「あの失脚したエバンス宰相の息子と一緒だった。しかも、かなり親密そうだ」
「エバンス宰相だって?! アイツの息子ってことは……目が『3』の形をしたヤツ? コレットと親密そうってなんだよ!」
「この二週間、毎日毛糸店で二人で会っていたらしい。まさか今更エバンス宰相が手を出してくることは考えづらいから、個人的に息子と会ってるだけだとは思うが……」


 俺が何カ月もコレットを放っておいたのが悪い。それは認める。だが他の男と親密な関係だなんて、それは絶対に許せない!


「……アラン! コレットが危ない目に合わないように、ちゃんと見張っておけよ!」


 このクソ忙しい俺にできるのは、仲間を信じることだ。アラン、絶対に絶対にヘマするなよ!
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