ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 荷造りも一通り終わり、午後からは絵本と手ぶくろと帽子を持って、リンゼイのところへ向かいます。編み物に夢中で、二週間くらいルイーズに会っていないわね。赤ちゃんって二週間もあれば随分成長するものよね。もう首もしっかりとすわって、人見知りが始まる時期かしら。

 来月くらいには離乳食も始めるのでしょうね。私もせっかく離乳食の作り方をマスターしておいたのに、腕前を披露できなくて残念だわ。

 ルイーズが可愛くて、毎日毎日育児本を読み漁った日々。

 レオ様もお子様が生まれたら、こんな風に愛するのかしら。側妃のチョメ令嬢と一緒に、愛情たっぷりに育てるのでしょうね。友人の子どもですらこんなに可愛いのに、自分の子どもが生まれたら、レオ様もメロメロになってしまいそう。

 私のことなんて、きっとすぐに忘れてしまうわね。


「コレット、何か悩みでもあるの? さっきからボーっとしているけれど」
「……あっ、リンゼイごめんなさい。ルイーズが可愛くて、寝顔を見てたら飽きなくて」
「明日の殿下の誕生日パーティー楽しみね。私も出産してから久しぶりの外出だから、とても楽しみにしているの。あ、もしかして、明日のパーティーでコレットたちの結婚発表をするとか……? それで緊張してボーっとしているのね!」


 リンゼイ、違います。その逆なの。言えないけど。


「リンゼイ。私が遠くに行ってしまっても、私はずっとリンゼイとルイーズの幸せを願っているわ」
「何よ、大げさね! 結婚してからだって会えるでしょう? そりゃ今よりはコレットは忙しくなると思うけれど、今生の別れじゃないんだから。時々は会いに来てよね」
「あの体の弱かったリンゼイが、こんなに元気になって嬉しい。エリオット様が、リンゼイを見つけてくれて本当に良かった。今まで本当にありがとう。リンゼイ大好き」


 明日はちゃんとコレットbotに戻るから、今日は泣かせてね。私のことをマリッジブルーだと勘違いしているリンゼイの胸で、私は子供のように泣きじゃくるのでした。
< 179 / 244 >

この作品をシェア

pagetop