ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「メイ! ゴールまで来たら急いで馬車に向かうから、ちゃんと待機していてね」
「了解! 行先なんだけど、私できれば南の島とかが良いわ。アラビアンな感じの国とかないの? この世界には」
「そうね、行先を勝手に決められてしまう前に、さっさと南の島に向かいましょう!」


 それにしても恐るべし、ソクヒ-ズハイ。
 今なら怖いものなし、何でもできちゃいそうな気がします。だって、私ったら長年の婚約者を一瞬で寝取られたんだもの! これ以上怖いことってある?

 淡いイエローに、ところどころパールとオレンジ色のリボンをあしらった上品なドレス。いつもよりは少し胸元を開けて、色気もプラスよ。この日のために丁寧に手入れをしてきた黒髪は美しく巻いてハーフアップに。うなじをチラ見せすることにこだわるメイが、絶妙なヘアアレンジを実現。

 どこからどう見ても、悪役令嬢です。


「うん……どこからどう見ても悪役令嬢っていうのはちょっと言い過ぎじゃない?」
「えっ、大丈夫かしら。清楚なチョメ令嬢とのバランス大丈夫?」
「チョメ令嬢、清楚かどうか分かんないじゃない。見たことないんだから」


 週一通い妻のチョメ令嬢、推定妊娠四か月。きっとまだ安定期にも入っていないだろうから、お手柔らかにいきましょう。


「さあ行くわよ! 一世一代の大舞台へ!」
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