ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 って、私が色々考えている間にレオ様ったら頭を抱えてうな垂れて……既に半分寝てるじゃないですか。そうそう、睡眠が一番。早くお部屋に戻って、寝た方がいいわ。

 何度も言うけど、私も眠いんだってば。


「お茶か……」
「レオ様、やっぱり私がお茶を入れるのはよくないでしょうか。でも私にはまだ侍女がいなくて……あ! メイを呼んで来ましょうか」


 そういえばメイの存在をすっかり忘れていたわ。どうしましょう。まさかこんな遅い時間まで外で待っているということはないでしょうけど……。レオ様が部屋に戻ったら、一度外を見に行けないかしら。


「コレット」
「はい?」


 あら……頬に手なんて当てちゃダメだってば。温かくて……寝てし……ま……ぅ


 …………


 …………うぉうっ! まずいまずい! 寝落ちしかけた!

 この静かな部屋がいけないのよ。もう、なんかレオ様もしつこい……チューチューとしつこい……あ……もう何度もキスしてくるのやめて。誰かお願い、私の目の覚めるようなBGMかけて頂戴!!



(……ドドドド)


 ん?


(ドドドドドドドド)


 あ……これ……遠くから少しずつ大きくなっていく太鼓の音……これは……


(ドドドドドドドドドドド)


 この曲知ってる! 学校の音楽の授業で習った、グリーグ作曲ピアノ協奏曲コンチェルト第一番のイントロでしょ! 誰だか知らないけれど、派手なBGMをありがとう。確かこの後のメロディーは……


「ジャーン! ジャジャジャーン!」


 やっぱり!



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※グリーグ作曲ピアノ協奏曲第一番、動画検索して聞いてみてくださいね。
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