ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 はあ……力が抜けちゃったわ。

 藁人形はエドワード様のプレゼント、五寸釘はペーパーカッター、リストは婚約者選定用……
 私また、勘違いしたわよね。

 さすがにまだ一歳にもならないエドワード様の婚約者選びなんて気が早いとは思うものの、とりあえず、これは呪いのリストじゃないってことで一件落着かしら?

 こんな恥ずかしいコスプレをした甲斐がありました……よね。
 自分で言うのもアレですが、なんだか今回の妄想は疲れたわ。グッタリよ。


「三カ月もコレットを王都に残しておいたら、どうせ変な妄想すると思ってた。仕事を巻いて巻いて一か月も早く急いで帰ってきたのに、間に合わなかったか……」
「レオ様……いつもすみません。次から地方視察の時は私も一緒に行っていいですか……妄想を止められる自信がないです」
「そうだな。コレットを一人にしておくのはやめる。さすがにロウソクはちょっと……いただけない」


 その辺に散らばった荷物をレオ様が持ってくれて、私たちはアランやメイの待つ馬車の方に歩きます。私が悪いんだけど、さっきからレオ様が必死で笑いをこらえて私から目を逸らしたまま歩くの。ひどくない?

 まあ、この格好は自分でも笑っちゃうけどね。

 スペンサー邸に向かってくれたポーラさんによると、ルイーズの体調不良は、子どもによくある軽い病気だったようです。
 熱が出て、その後体中に発疹ができるんですって。小さい赤ちゃんによくある病気だと、そう言えば学園の授業でも習った気がします。
 ルイーズが無事で良かったんだけど、何だかこの数日でドッと疲れたわ。

 私がこの一件の後あとしばらく疲れて寝込む羽目になったのは、もしかしたらエドワード様が無理矢理引っこ抜いた芝生たちの怨念が、私を呪ってたのかもしれないわね。
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