ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「コレット様! 同じグループに入れてください。色々お話ししたかったの!」
「……メイ様。よろ、よろし…く…」


 放課後に高笑いしながら水をぶっかけようとしている相手に対して、その数時間前にどういうテンションで話せば良いのでしょう?
 でも、そんな心配は吹っ飛ぶくらい、メイ様が色々とやらかしてくれました。


「ねえ、コレット様。レオとは子供の頃からの婚約者なのでしょう? 親同士が決めた政略結婚ということですか?」
「ねえ、コレット様! 私、コレット様には他に合う方がいらっしゃる気がするわ。私の勘ってよく当たるんです」
「コレット様! この前私とレオが歩いていた時に急に間に割り込んで来たのって、もしかして嫉妬……?」
「コレット様! コレット様!」


 ……ぅぇえええいっ!! うるさいっ! 黙れぃっ!

 もう少し可愛らしい人かと思っていたのに、この失礼な言動の数々。毎日殿下にいびられている私だって、相手が王太子だから我慢しているだけなのよ。他人にここまで言われる筋合いはないからねっ!

 しかも、レオ(・・)って何? レオ(・・)って。私ですら「殿下」ってお呼びしているのに、名前を略称で呼ぶなんて!
 私が鼻をフガフガ言わせながらメイ様に言い返そうとした時、先にリンゼイが言い返してしまいました。


「メイ様。王太子殿下の婚約者に対して、とても失礼じゃないかしら。レオナルド殿下とコレットはお互いに大切に想い合っているし、長年一緒にいてとても深い絆で結ばれているのよ。あなたがそんな……」


 あんたも待てぇぇぇいっ!! 想い合ってもないし深い絆もございませんよ! 私たちの間にあるのは、ブラック企業の社長と社畜との関係性のみだから。


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